まさに、「生きてて良かった」という思いを日本武道館を埋めた9000人が分かち合った、そんな夜だった。生きてて良かった、フラカンを好きで良かった、今日この日のライブを観ることができて、本当に良かった。怒髪天による「フラカン応援歌」が鳴り響いた後…
ライブ本編とアンコールの終わりでの「ありがとうございました」という友部さんの声の力強さが、ライブの充実を率直に表していた。いいライブだった。『ミディの時代』というタイトルそのままに、1989年から2008年までの約20年間に友部さんがミディからリリ…
60本(!)に及ぶ前回のツアーが春に終わってから1年と空けずに、新作『JUNGLE9』を携えて始まった70本(!!)に及ぶ全国ツアーの東京公演初日。毎年クロマニヨンズの新しい歌が聞けて、何度もライブに行けるという幸せ。クロマニヨンズのライブ会場には、「幸せな…
この『Firiend, Friends 友達、友達』には、これまで私が観てきた劇団フライングステージのお芝居には登場しなかった人達が何人も登場した。それは新鮮な驚きであるだけでなく、舞台の上に浮かび上がった彼らと彼らが相対する人達との対比が、2015年の日本に…
カヴァー曲を続けて演奏したライブの中盤、ボ・ガンボスの“魚ごっこ”の前にマーシーが語ったどんととの思い出がとても印象深かった。「ブルーハーツっていうバンド」で沖縄のイベントに出演した時、どんとと一緒に夕暮れの浜辺でギターを弾いて歌った思い出…
「愛についての」ではなく「愛そのもの」のような音楽――b-flowerの新曲“純真”を聞いて最初に思ったことは、それだった。 この曲にあるのは「愛の描写」でも「愛の説明」でもなく「愛の感触」だと思った。その「感触」が比喩ではなく実体として曲から伝わって…
梅雨明け間近の夏の陽射しが和らぎ始めた夕暮れに、人影まばらな灯りの消えたNHKホールの前に到着して、この日のライブ会場が東京国際フォーラムだったことに気づいた。この時すでに、開演時間の20分前。渋谷から有楽町へ向かうタクシーの窓から見た、柔らか…
5月の新緑が鮮やかな快晴の日。<愛が終わりのない青空に吸い込まれた>(クリア)のは、こんな青空だったのかもしれないと思うほどの。 5月2日から始まったツアー4本目にして、さらにパワーアップ、ヴァージョンアップした吉井和哉がいた。その確信はライブ…
ライブ終盤、「ありがとう、行ってきまーす」と、吉井和哉は清々しい笑顔で旅立ちを告げていた。セットリストが進むほどに声が伸びやかに、動きが軽やかになっていくその様子には、新作『STARLIGHT』とこの日から始まるツアーに対する確かな手ごたえと期待が…
かつてボブ・ディランが<Ah but I was so much older then, I am younger than that now(あの頃の僕は今よりずっと年老いていて、今の僕はその頃よりも若い)>と歌ったように、吉井和哉の新作『STARLIGHT』は、ソロデビューから10年以上を経て、ソロ7作目に…
とてもいいライブだった。 「野音でフラカン」というだけでライブ当日の朝から顔がニヤけてしまう。しかも、お天気も良く*1朝起きてからずっと、気がつくとニヤニヤしている自分がいた。ライブが終わってから、むしろもっとニヤけていても良かったのだと思う…
ライターの大塚幸代さんの突然の訃報を知り、驚きとともに、何とも言えない喪失感に捕えられている。 いつの頃からか雑誌やネットで、自分の好きなアーティストの記事で大塚さんの名前を見かけることが多くなっていた。同じ年の同じ2月生まれだったこともあ…
出張でフィンランドに。滞在したヘルシンキの気温は零度。天気は曇り、晴れ、雪、雨と日毎に変わったけれど、街の風景は常に青かった。私にとってヘルシンキは「青い街」になった。いろんな「青」がそこにはあった。 街燈と共犯した群青。 夕暮れのペールブ…
去年の10月から始まった60本に及ぶ全国ツアーのセミファイナル。ライブが始まる前から、会場全体にいつもとは違う熱気が漂っている。ライブ開始時刻直前になると、ステージ付近で将棋倒しが起こったような動きや声が聞こえてくる(危ない)。いつも通り一気…
とてもいいライブだった。友部さんのライブに対して「いい」「悪い」という形容詞は無粋に思えるけれど、率直に「いいライブだった」という幸せな余韻が残るライブだった。友部さん自身も調子の良さを感じていたようで、3、4曲目が終わったところで「久しぶ…
新曲の“クリア”“ボンボヤージ”に加えて、ソロになってからのライブで演奏されたイエローモンキーの楽曲が収録されたこのシングルのなかで、吉井和哉は3種類の服を着ていると思った。“クリア”が真新しい服で覚えたてのステップを披露しているとしたら、イエロ…
いいライブだった。クロマニヨンズのライブはいつもいいけれど、やっぱり今日もいいライブだった。そして、今日の「いい」はいつもよりももっといい、「いい」だったような気がする。ホールの後方の席からも、ヒロトがよく笑っているのが見えた。 去年の10月…
11月にリリースされたカヴァーアルバムのサブタイトル(「此レガ原点!!」)を1文字だけもじったサブタイトルを持つ、吉井和哉2年ぶりの武道館公演。それは映画に例えるならば、てっきり「スピンオフ(番外編)」だと思って観ていたら、実は新しく始まる本編の…
カヴァーアルバムには大きく2種類がある。一つは「トリビュートアルバム」と呼ばれる、複数のアーティストがある特定のアーティストやバンドの曲をカヴァーしたもの。もう一つは、一人のアーティストが自分以外の複数のアーティストの曲をカヴァーしたのもの…
ライブ開始直後から終盤まで、何本ものミネラルォーターが観客の中から撒き散らかされた。ステージを照らす光を反射しながらキラキラと飛び散る水泡は、ロックンロールの興奮と感激を野蛮に美しく代弁していた。“ダイナマイトブルース”や“ウォルター一撃!”…
アルバムのタイトルやジャケットの重厚な印象とは裏腹に、クロマニヨンズの新作『GUMBO INFERNO』は爽やかで切ない風が吹いているような、そんな感じがした。 それを象徴する、1曲目の“旅立ちはネアンデルタール”。 飽きたわけじゃない いやになったんじゃな…
友部さんのリクエスト大会は、お客さんがライブ前に書いたリクエストの紙を箱から1枚ずつ引きながら歌う。昨年のリクエスト大会と同様に、幅広いセットリストになった。 第1部では、歌い終えてから「16歳の時にラジオでこの曲を聞いて、僕は歌手になろうって…
1.人生という「贈り物(PRESENT)」 人生で起こることはすべて、嬉しいことも悲しいことも自分への「贈り物(PRESENT)」だとしたら、生きるということは「受け取る」ということなのかもしれない。そして、「受け取る」ことは時に「贈る」ことよりも実は難しい…
スピッツが武道館によく似合っていたというよりも、武道館がスピッツによく似合っていた――そんなふうに感じたライブだった。スピッツというバンドの存在感、その不思議さと大きさを改めて感じたライブだった。客席の照明が落ち武道館の会場に観客が身に付け…
フラカン結成25周年ワンマンツアー「4人で100才」のツアーファイナル。 結成25周年のアーティスト写真のスーツ姿で登場したメンバーは、スーツがよく似合っていた。背伸びしているわけでも、奇をてらっているわけでもなく、身の丈にあったさりげない貫禄があ…
吉祥寺には6月の雨が降っていた。 最初に三宅さんが登場して4曲ほど歌ってから友部さんが登場して、その後はずっと2人で一緒にそれぞれの曲を演奏。三宅さんと共作したアルバム『ロックンロール、やってます』からの曲を演奏した後で、「この曲はなんていう…
いいライブだった。千葉LOOKのステージは低くて、圭介さんはほぼバストショット(台の上で歌った場合)、他のメンバーはほぼ鎖骨から上しか見えなかったけれど、でも、とてもいいライブだった。フラカンの歌には、生きることにつきまとう寂しさや侘しさ、どう…
死後新たに見つかった、30代後半の清志郎が綴ったノートから成るこの本を読んで、清志郎に再会したと同時に初めて出会ったような、そんな気持ちになった。 読み始めてほんの数ページで、20代の清志郎が綴ったノートから成る『十年ゴム消し』から受けた印象と…
なんと言っても、1曲目が“タリホー”。その後に“紙飛行機”、“ギリギリガガンガン”と続いたところでようやく、4月にリリースしたシングルコレクション『13PEBBELES』を意識したセットリストだと気づいた。これまでにのシングル13曲を全てほぼリリース順に演奏…
友部さんのライブに行くと、本を読む人を見ることができる。開場から開演までの間、文庫本や単行本を読む人の横顔や背中は静かだけれど、輪郭がはっきりとして見える。世の中には「質の良い孤独」というものがあるのだとわかる。 友部さんの歌は「質の良い孤…