ザ・クロマニヨンズ TOUR ガンボ・インフェルノ 2014-2015(2014/10/22 TSUTAYA O-EAST)

ライブ開始直後から終盤まで、何本ものミネラルォーターが観客の中から撒き散らかされた。ステージを照らす光を反射しながらキラキラと飛び散る水泡は、ロックンロールの興奮と感激を野蛮に美しく代弁していた。

“ダイナマイトブルース”や“ウォルター一撃!”など、ライブで聞いたらもっとカッコいいだろうと予感した新作『GUMBO INFERNO』の収録曲はどれも、重厚なのにどこか軽やかで、鋭いのにどこか優しかった。つまり、とてもカッコよかった。
その新作の曲のなかでも特に強く心のフィルムに焼き付いたのは“犬の心”。間奏で、汗まみれの顔をぬぐわずにギターの音に身をよじらせるヒロトは、泣きながら踊っているように見えた。その姿はとてもとても美しかった。「ロックンロールの美しさ」だと思った。そして、「ロックンロールの美しさ」というものが一瞬にしか存在しないのだとすれば、私の見た一瞬は「永遠」ということにしても構わないと思った。

デタラメに ああ デタラメに
ちからの限り 泣きました


今夜あなたの夢を見ます

まさにこの曲の犬のように、ヒロトは泣き方も、笑い方も、踊り方も、歌い方もすべて<デタラメ>なのだと気付いた。この人はただただ翻弄されているだけなのだと、何もかもただ<ちからの限り>なだけなのだと、今さらながら気付いた。そうしたら、嬉しいような切ないような何とも言えない気持ちになって、泣いてしまった。

そして、ライブの終盤の“孤独の化身”。ステージの一箇所を踏みしめるように立ち目をつぶって歌うヒロトは、「こ・ど・く・の」と歌うところで一音ずつ肩を左右に揺らしていた。その肩は鎖骨からつながる骨の形がはっきりとわかるほど細く、ヒロトはさらに痩せた感じがした。もしかするとヒロトはこれからもっと痩せてしまうのかもしれない。ロックンロールにしゃぶり尽くされて骨と皮だけになってしまうのかもしれない。けれど、それこそがヒロトの本望なのかもしれないと思った。

いいライブだった。

ザ・クロマニヨンズセットリスト(2014/10/22)
旅立ちはネアンデルタール
流行のクルマ
B&K
紙飛行機
人間マッハ
ダイナマイト・ブルース
ウォルターに一撃!
欲望ジャック

ルル
原始力自転車
犬の夢
キスまでいける
スパーク!
ドードードードー
孤独の化身
エイトビート
タリホー
突撃ロック
ナンバーワン野郎!


−encore−
突風野郎〜愛のテーマ〜
とがってる
クロマニヨン・ストンプ