フラカン結成25周年ワンマンツアー「4人で100才」(2014/07/04 LIQUIDROOM)

フラカン結成25周年ワンマンツアー「4人で100才」のツアーファイナル。
結成25周年のアーティスト写真のスーツ姿で登場したメンバーは、スーツがよく似合っていた。背伸びしているわけでも、奇をてらっているわけでもなく、身の丈にあったさりげない貫禄があってかっこよかった。「結成25周年」を今までにない大きな会場でのライブではなく、今までと変わらない全国ツアーで飾るバンドの姿勢と通じるものがあると思った。派手じゃないけれど、地に足がついていて、ライブバンドらしくて、かっこいいということ。1曲目スーツ姿で<がんばれ圭介>とシャウとした後に、さりげなく自分に親指を向ける圭介さんはいつになく英雄(ヒーロー)ぽかった。
先月の千葉LOOKでのライブと同じく、長いキャリアのいろんな時期からピックアップしつつ、「21世紀に入って4回ぐらいしか演奏していない」レアな選曲(ベルボトムジャック、紅色の雲、スマイルなど)を含む、ライブの序盤でも中盤でも終盤でもそれぞれに歓声が上がるセットリストだった。

MCでメンバーも言っていたように、今のフラカンは調子がいい。その調子の良さがとてもよく伝わってくるライブだった。4曲目に演奏した“深夜高速”ですでに圭介さんの声はガラガラしていたけれど、それがあまり心配にならない盤石な感じと余裕があった。

印象深かったのは“エンドロール”。とても大きなとり返しのつかない悲しい出来事を前にして、ロックンロールは何を歌うことができるのか、という問いの重さと答えのなさ。曲の終わりで繰り返される<君に 今すぐ会いに行く>というフレーズは、イエローモンキーの“JAM”の<君に逢いたくて/また明日を待ってる>というフレーズにも重なる。それは力強い唯一の「答え」というよりも、現実に圧倒されそうな自分の無力さや非力さに直面しつつかろうじて掴んだなけなしの「答え」として聞こえてくる。だからこの曲には、この曲が何度演奏されても変わらず、バンドにも聞き手にも問いを突きつけるような緊張感がある。
この曲に限らず、フラカンの歌には「答え」のない歌が多い。「答え」を出すことではなく、「答え」を出せないままそれでも未来に対する淡い期待と頼りない予感を信じて進んでいくということ。最近のフラカンはそれを「痛々しさ」以上に「健やかさ」を感じさせながら歌っている。それはフラカンの身近さやさりげなさや奥ゆかしさの影に隠されているけれど、実はとてもすごいことなのだと思う。

ライブの最後は“さよならBABY”。圭介さんがギターをトチってやり直したり、演奏が始まっても圭介さんのギターにトラブルがあったりして、演奏としては結構粗かったのかもしれない。けれど、そんなことが気にならないぐらい、この曲がずっと続けばいいと会場にいた全員が思っていたと思えるぐらいにいい演奏だった。

このライブも、いいライブだった。

フラワーカンパニーズセットリスト(2014/07/04)
孤高の英雄
煮込んでロック
ベルボトムジャック
深夜高速
人生 GOES ON
スマイル
はぐれ者参加
世田谷午前3時6分
紅色の雲
ロスタイム
ビューティフルドリーマー
君のこと
246
エンドロール
馬鹿の最高
ラララで続け!
俺たちハタチ族
チェスト


−encore1−
東京タワー
白眼充血絶叫楽団
最高の夏


−encore2−
真冬の盆踊り
さよならBABY