b-flower

Debonaire × b-flower(2022/06/18 新代田FEVER)

井の頭線に乗り換えるために久しぶりに降り立った渋谷駅は、大きく変貌していた。時間の流れの早さに追い越されるように日々を送りながらも、ずっと昔にb-flowerのライブを渋谷のライブハウスで観た記憶があまり色褪せていないことの不思議を思った。そして…

b-flower『何もかもが駄目になってしまうまで』

無垢で無防備なコーラスから「グラジオラス 胸に抱いて」と軽やかに歌い出される1曲目「イノセンス ミッション」を聞いて、思わず頬が緩むとともに胸の奥がチクりと針で刺されたような気がした。22年ぶりにリリースされたb-flowerのニューアルバム『何かもか…

another sunny day 2018(b-flower/The Laundries/For Tracy Hyde/DJ:明山真吾)(2018/10/13 KOENJI HIGH)

20年以上の時を経てb-flowerのライブを観ているということ以上に、そのライブに「20年」という時間やその間の空白を感じないことが驚きだった。b-flowerの音楽は、その演奏は「みずみずしい棘」のままだった。かつてとキーの高さの変わらない八野英史のボー…

b-flower 『the very best of b-flower』

かつて、10代でロックと出会って間もなくして、「自分の好きな音楽について自分が書いた文章が音楽雑誌に掲載されること」が、私の夢になった。そして、20歳の春、『rockin'on JAPAN』という雑誌に、あるバンドについて書いた私の文章が掲載された。その文章…

b-flower 「純真」

「愛についての」ではなく「愛そのもの」のような音楽――b-flowerの新曲“純真”を聞いて最初に思ったことは、それだった。 この曲にあるのは「愛の描写」でも「愛の説明」でもなく「愛の感触」だと思った。その「感触」が比喩ではなく実体として曲から伝わって…

Livingstone Daisy 『33 Minute Before The Light』

b-flowerの八野英史、岡部亘と、細海魚から成るLivingstone Daisyの1stアルバム。「静かな、愛に満ちた音楽」だと思った。 タイトルとジャケットの写真が象徴するように、決して明るくはないけれど、夜明けを待つ間の静けさと、白々とした明るさの予感がアル…

b-flower 「つまらない大人になってしまった」

12年ぶりのb-flowerの新曲。タイトルの率直さにほんの少しざわついていた心は、b-flowerらしい繊細なイントロに続いて現れた不機嫌な声に不意を突かれて動揺する。白いノートのページに青いインクの滲みが広がるように、聞き覚えのある透明な声が胸の奥に広…