音楽

『ロケットマン』

エルトン・ジョンの自伝的半生を描いた映画『ロケットマン』を観た。エルトン・ジョンの名曲の数々をミュージカル仕立てで織り込んだ華やかさとは裏腹に、見終わった後に何とも言えない切なさと静かな強さが心に芽生えてくるような、そんな映画だった。 1.…

東日本大震災とロック

記憶は音楽と共にあり、音楽は記憶を呼び起こす――何かを思い出すことは、その当時の音楽と自分自身を思い出すことでもある。 東日本大震災から8年が経つ。当時のことを思い出すとき、かつてこのブログに記した音楽にまつわる2つの体験が鮮明に蘇る。どちらに…

友部正人 ニューアルバム「ブルックリンからの帰り道」発売記念ライブ(2016/09/22 STAR PINE'S CAFE)

新作『ブルックリンからの帰り道』発売記念ライブ。最近のライブですでに演奏されていて聞いたことのある曲も、初めて聞く曲も、「ニューアルバム」という額縁に縁どられることで、改めて新鮮な気持ちで聞くことができた。「『友部正人』というバンドがある…

友部正人「リクエスト大会2016」(2016/04/15 Star Pine's Cafe)

新緑のさわやかな春の夕暮れの吉祥寺の街は、ただそれだけで歌を口ずさんでいるようだった。そんな街で友部さんの歌を聞けることの幸せを噛みしめた。前日まで、「夜よ明けるな」をリクエストするつもりだったけれど、ライブ当日の午後に気持ちが変わって違…

友部正人「ミディの時代―友部正人1989−2008」発売記念ライブ(2015/12/06 Star Pine's Cafe)

ライブ本編とアンコールの終わりでの「ありがとうございました」という友部さんの声の力強さが、ライブの充実を率直に表していた。いいライブだった。『ミディの時代』というタイトルそのままに、1989年から2008年までの約20年間に友部さんがミディからリリ…

友部正人「バス停で待っている」(2015/03/07 南青山MANDARA)

とてもいいライブだった。友部さんのライブに対して「いい」「悪い」という形容詞は無粋に思えるけれど、率直に「いいライブだった」という幸せな余韻が残るライブだった。友部さん自身も調子の良さを感じていたようで、3、4曲目が終わったところで「久しぶ…

友部正人リクエスト大会2014(2014/09/07 Star Pine's Cafe)

友部さんのリクエスト大会は、お客さんがライブ前に書いたリクエストの紙を箱から1枚ずつ引きながら歌う。昨年のリクエスト大会と同様に、幅広いセットリストになった。 第1部では、歌い終えてから「16歳の時にラジオでこの曲を聞いて、僕は歌手になろうって…

三宅伸治Every Wednesday 2014 三宅伸治・友部正人(2014/06/11 MANDA-LA2)

吉祥寺には6月の雨が降っていた。 最初に三宅さんが登場して4曲ほど歌ってから友部さんが登場して、その後はずっと2人で一緒にそれぞれの曲を演奏。三宅さんと共作したアルバム『ロックンロール、やってます』からの曲を演奏した後で、「この曲はなんていう…

忌野清志郎 『ネズミに捧ぐ詩』

死後新たに見つかった、30代後半の清志郎が綴ったノートから成るこの本を読んで、清志郎に再会したと同時に初めて出会ったような、そんな気持ちになった。 読み始めてほんの数ページで、20代の清志郎が綴ったノートから成る『十年ゴム消し』から受けた印象と…

友部正人(2014/03/30 吉祥寺STAR PINE'S CAFE)

友部さんのライブに行くと、本を読む人を見ることができる。開場から開演までの間、文庫本や単行本を読む人の横顔や背中は静かだけれど、輪郭がはっきりとして見える。世の中には「質の良い孤独」というものがあるのだとわかる。 友部さんの歌は「質の良い孤…

The Rolling Stones 「14 ON FIRE JAPAN TOUR」(2014/03/06 東京ドーム)

丸ノ内線後楽園駅のホームを降りた瞬間に、わくわくしてきた。黒っぽい冬の服を着た人たちも皆そんなふうに見えた。みんなそわそわと心躍らせていた。ローリング・ストーンズは人を無邪気にさせる。何といってもミック・ジャガーのステージング。圧巻だった…

友部正人リクエスト大会2013 (2013/10/20 STAR PINE'S CAFE)

リクエスト大会は、観客が開演前に友部さんに歌ってほしい曲を紙に1曲書き、その紙が入った箱から友部さんがクジのように1枚ずつ引いて歌うという形式。私も開演前に1曲を書いた。長方形の紙を横長の向きにして書いて、紙を左右で二つに折りたたんで、バーカ…

友部正人ライブ(2012/06/03 STAR PINE'S CAFE)

久しぶりに聞いた“中道商店街”や“愛について”も、初めて聞いた“弟の墓”や“手袋と外国コイン”も、アンコールで客席からのリクエストに応えて歌われた“6月の雨の夜、チルチルミチルは”も、歌われている風景はさまざまだけれど、どの歌も言葉のなかに風景が立ち…

『ロックンロールが降ってきた日』

20代(1980年代生まれ)から70代(1930年代生まれ)までの15人のミュージシャンが「ロックンロールとの出会い」を語った本。とにかく面白い。一気に読み終えた。 ミュージシャンが自分自身の聴き手としての音楽体験を語るという点では、渋谷陽一による対談集…

Summer Sonic 2010(1日目)(2010/08/07 千葉マリンスタジアム&幕張メッセ)

サマソニは3年ぶり。2日間参加は初めて。真夏の埋立地は思ったより風が吹いていました。 1日目に観た主なライブの感想を書きました。 あらかじめ決められた恋人たちへ 太陽がむき出しになった空とステージの向こうに砂浜が見えるロケーションがミスマッチな…

おおくぼひさこ写真集 『BOYFRIEND』

忌野清志郎にはモノクロームの写真がよく似合う。おおくぼひさこさんが撮影し、彼女自身の手によって選ばれた68枚の清志郎。そのうち約3分の2はモノクロームで、カラーであってもほとんどが青みを帯びている。またライブでの清志郎の姿をとらえた写真は1枚も…

『THE GROOVY 90'S』

90年代の日本のロック/ポップスのディスクガイド『THE GROOVY 90'S』。 私も寄稿させていただきました。RCサクセション、スピッツ、ハイロウズ、フィッシュマンズ、ピロウズなどについて執筆しました。 読んでいただけたら嬉しいです。THE GROOVY 90'S~90年…