劇団フライングステージ
会場で配布された「ご挨拶」には「劇団フライングステージは1992年11月3日に第1回公演を行いました。」とあった。それからまさに30年後の11月3日に劇団フライングステージのお芝居を観た。 「30年」という「節目」の年の作品となった、ゲイ達が住むアパート…
劇団フライングステージ第47回公演は、『アイタクテとナリタクテ』と『お茶と同情』という、どちらも学校を舞台にした作品の再演。小学生と教育実習生--どちらもその場所、その立場を通過点として旅立っていく「幼き/若き人々」の眩しく健やかな姿ととも…
就職面接において、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染していることを告げなかったことを理由に内定を取り消されたことは違法だと訴えた「HIV内定取消訴訟」をモチーフにした物語。その原告男性へのインタビューと裁判記録を基にした「フィクション」である…
1992年の旗揚げ以来、劇団フライングステージのお芝居の中で最も幼い主人公、小学生達の物語。お得意のメタシアターの手法で描きだされた物語は、可愛らしくも、「愛とは」「家族とは」そして「自分とは」――というこれまでの作品群に通低する一貫した問いを…
同性パートナーシップ申請(宣誓)、レインボーパレード、一橋大学アウティング事件、国会議員による「LGBTは生産性がない」発言――近年の同性婚を扱った連作と同様に、あるいはそれ以上に「2018年の日本」を強く意識した物語。そして、さりげなく織り込まれ…
渋谷区と世田谷区で始まり、全国の複数の自治体にも広がっている同性パートナーシップ申請(宣誓)をめぐる、3部作の3作目。2015年上演の1作目『Firiend,Freiends 友達、ともだち』、2016年上演の2作目『Family,Familiar 家族、かぞく』に共通する登場人物達の…
同性カップルの結婚に相当する関係を認める渋谷区の条例や世田谷区の要項が相次いで成立し、同性愛者、結婚、家族をめぐる制度にとってひとつの節目となった2015年。その2015年の11月、今からちょうど1年前に上演された『Friend,Friends』と、その物語の登場…
夏目漱石の『こころ』を劇団フライングステージならではの独自の解釈で編み直した物語。2008年の初演で強烈な印象を受け、劇団フライングステージのお芝居の中でも特に再演を待ち望んでいた『新・こころ』。あれから8年(!)が経ち、その間の「変わらないも…
この『Firiend, Friends 友達、友達』には、これまで私が観てきた劇団フライングステージのお芝居には登場しなかった人達が何人も登場した。それは新鮮な驚きであるだけでなく、舞台の上に浮かび上がった彼らと彼らが相対する人達との対比が、2015年の日本に…
1.人生という「贈り物(PRESENT)」 人生で起こることはすべて、嬉しいことも悲しいことも自分への「贈り物(PRESENT)」だとしたら、生きるということは「受け取る」ということなのかもしれない。そして、「受け取る」ことは時に「贈る」ことよりも実は難しい…
このお芝居には、新宿2丁目に縁ある人物として夏目漱石が登場した。彼の代表作『こころ』には、こんな一節がある。「記憶してください。私はこんなふうにして生きてきたのです」。この言葉に応えるように、このお芝居は終始こんなふうに告げていた――「憶えて…
劇団フライングステージのメールマガジンで羽矢瀬智之(はやせ ともゆき)さんが亡くなったことを知りました。34歳でした。突然のお別れは、こんなにもさびしく悲しいものなのかと思いました。私が初めて観た羽矢瀬さんのお芝居は、2000年7月の『Nude』でした…
3年ぶりに観た劇団フライングステージのお芝居は、何重にももつれてからまった、ほどこうとするとかえってからまってしまう「家族」という糸の結び目が少しずつ緩んでいくようなお芝居だった。 物語は2011年4月から2012年4月の1年間。東北の由緒ある造り酒屋…