吉井和哉

THE YELLOW MONKEY 「DANDAN」

ザ・イエローモンキーには12月がよく似合う。現在のメンバーになって初めてのライブが12月28日だったという「縁」もあるように、このバンドには、過ぎ去っていくことの感傷と新たに迎えることの希望が交錯する季節がとてもよく似合う。賑やかな風景の裏にあ…

THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2019-GRATEFUL SPOONFUL-(2019/7/7 さいたまスーパーアリーナ)

“天道虫”で派手に幕を開けたライブだった。テーマの異なる4種類のセットリストのうち、今回は「ハート」のセットリストだった。タイトルに「LOVE」とある曲が多く歌われたけれど、そういう歌ほど、セックスと真正面から向き合う反面、愛と真正面から向き合う…

THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2019-GRATEFUL SPOONFUL-(2019/6/11 横浜アリーナ)

19年ぶりのオリジナルアルバム『9999』と同じく“恋のかけら”で幕を開けたライブは、「30周年」という時の流れを感じさせないというよりも、時の流れを味方につけたバンドだけが醸し出す「円熟」と「新鮮」が同居したライブだった。ロックバンドとして「脂が…

歴史と交わるということ、あるバンドの「甘美な挫折」に寄せて

永井純一(2019)「第7章 フジロック、洋邦の対峙」書評(『私たちは洋楽とどう向き合ってきたのか』,南田勝也編著,花伝社,pp.210-243) 1997年7月26日、2人のオーディエンスの経験 私が初めてザ・イエローモンキーのライブを見たのは、1997年7月26日のフ…

THE YELLOW MONKEY『9999』

ザ・イエローモンキー9枚目のオリジナルアルバム『9999』。活動休止、解散そして再集結を経ての19年ぶりの新作。バンドにとっても、ファンにとっても長い時間と「重い想い」を背負ったアルバムである一方で、1曲目“この恋のかけら”が進むにつれてこの新作が…

東日本大震災とロック

記憶は音楽と共にあり、音楽は記憶を呼び起こす――何かを思い出すことは、その当時の音楽と自分自身を思い出すことでもある。 東日本大震災から8年が経つ。当時のことを思い出すとき、かつてこのブログに記した音楽にまつわる2つの体験が鮮明に蘇る。どちらに…

THE YELOOW MONKEY SUPER『メカラウロコ・29 FINAL』(2018/12/28 日本武道館)

アンコールで吉井和哉が歌った「毛皮のコートのブルース」がこの日のライブを象徴していた。曲に込められた吉井和哉の深い思入れや「イエローモンキー」というバンドの根っこにある世界観を感じつつ、全身黒の喪服のようないでたちで「Happy Birthday」と歌…

吉井和哉 15th Anniversary Tour 2018‐Let's Go Oh! Honey−(東京国際フォーラム 2018/06/23)

いいライブだった。「ソロアーティスト」としての、「独りの表現者」としての吉井和哉の音楽の魅力に出会い直し、見つめ直すような、そんな感慨深い瞬間の連続だった。東京国際フォーラムで吉井和哉のライブ見るのは3度目だった。それはいつも梅雨の紫陽花の…

『SOUNDTRACK〜Beginning & the End〜』

吉井和哉のソロデビュー15周年に合わせてリリースされた、2015年のソロライブ音源と新曲からなるベストアルバム的1枚。 アルバムジャケットの吉井和哉の表情は、何と形容したらいいのだろうかと迷った。 遠くを見ているようで目の前の誰かを凝視しているよう…

THE YELLOW MONKEY SUPER BIG EGG 2017(2017/12/09・10 東京ドーム)

素晴らしいライブだった。 この「素晴らしい」という言葉が、これまでのイエローモンキーのライブと同じ基準によるものではなく、その基準自体が更新されたような感覚があったという意味で「素晴らしい」ライブだった。2001年1月以来、活動休止、解散そして…

『オトトキ DOCUMENTARY of THE YELLOW MONKEY』(2017/11/11)

公開初日に銀座の映画館で観た。同じバンドのドキュメンタリー映画ではあっても、2013年に公開された『パンドラ ザ・イエローモンキー PUNCH DRUNKERD TOUR THE MOVIE』id:ay8b:20131006とは異なる感触と印象を残す映画だった。 2016年に「再集結」したザ・イ…

ザ・イエローモンキー『THE YELLOW MONKEY IS HERE.NEW BEST』

2013年にリリースされたファン投票によるベストアルバム『イエモン―FAN'S BEST SELECTION―』の収録曲を、再集結したザ・イエローモンキーが新たにレコーディングし直したベストアルルバム『THE YELLOW IS HERE』。タイトル通り、イエローモンキーが現在進行…

THE YELLOW MONKEY SUPER メカラ ウロコ・27(ライブビューイング)(2016/12/28 シネマイクスピアリ)

ほぼ毎年武道館で見届けていたこの日のライブを、今年はライブビューイングで見た。 開演前の武道館の会場には、席に着くとスクリーンに映し出された武道館の会場には、デビッド・ボウイの“ジギー・スターダスト”が流れ、ステージ上ではパッヘルベルの“カノ…

SUMMER SONIC 2016(2016/08/21 QVCマリンフィールド&幕張メッセ)

4年前に吉井和哉がソロで出演した時のことを思い出した。ライブというよりもその時の天気のことを。ライブが始まってから雨が本格的に降り出して、降ったり止んだりしながら最後には晴れて虹がかかっていた――という、そんな展開の空模様は、今にして思えば、…

THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2016−YOKOHAMA SPECIAL−(2016/08/03 横浜アリーナ)

このライブ以前、私が最後に横浜アリーナでライブを観たのは、2000年5月のザ・イエローモンキーの「SPRING TOUR」だった。それから16年。過ぎたのは「時間」ではなく「季節」だったのだと思う。1997年の“FIX THE SICKS”ツアーを髣髴とさせる演出とともに始ま…

THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2016(2016/07/09 さいたまスーパーアリーナ)

この日のライブを観てしまうと、「素晴らしい」と心の底から思った2か月前の国立代々木競技場第一体育館でのライブでさえも、このバンドにとってはまだ「硬かった」のだと実感した。あれから、2か月が経って、まさに蛹が蝶になって飛び立ったような、そんな…

THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2016(2016/05/11 国立代々木競技場第一体育館)

2016年5月11日19時00分00秒。歓声がもはや悲鳴に変わりそうなほどの興奮と歓喜のなか、ザ・イエローモンキーは帰ってきた。あの日確かに信じたものが幻なんかじゃなく、現実としてそこにあった。ステージ前面の半透明の幕に浮かびがった4人のシルエットを見…

THE YELLOW MONKEY「ALRIGHT」

それがとても大切なものであるとき、それに出会うことやそれを受け取ることに人は怯える。それを傷つけたり、それを失ったりすることを恐れてしまうがゆえに。この新曲を聞いて、信じながらも疑い続け、疑いながらも信じ続けるという「愛の怯え」がこのバン…

THE YELLOW MONKEYアルバムレビュー(Revised)

私が以前に書いていたブログで10年前に書いたザ・イエロー・モンキーのアルバムレビューです。少しだけ手直しましたが、10年前も今もこのバンドに対する私の思いは、このレビューにある思いのまま、そのままです。 ・BUNCHED BIRTH (1991.7.2 Release) この…

吉井和哉「Kazuya Yoshii Beginning & The End」(2015/12/28 日本武道館)

吉井和哉の武道館公演から一夜明けた朝、スーツケースをなくす夢を見た。夢の中でスーツケースをなくした私は、焦って、困っていた。目が覚めた後も、「夢で良かった」と感じるよりも、夢の中で感じた寂しいような悲しいような、そして少し恐いような気持ち…

YOSHII KAZUYA STARLIGHT TOUR 2015(東京国際フォーラム 2015/07/15)

梅雨明け間近の夏の陽射しが和らぎ始めた夕暮れに、人影まばらな灯りの消えたNHKホールの前に到着して、この日のライブ会場が東京国際フォーラムだったことに気づいた。この時すでに、開演時間の20分前。渋谷から有楽町へ向かうタクシーの窓から見た、柔らか…

YOSHII KAZUYA STARLIGHT TOUR 2015(NHKホール 2015/05/13)

5月の新緑が鮮やかな快晴の日。<愛が終わりのない青空に吸い込まれた>(クリア)のは、こんな青空だったのかもしれないと思うほどの。 5月2日から始まったツアー4本目にして、さらにパワーアップ、ヴァージョンアップした吉井和哉がいた。その確信はライブ…

YOSHII KAZUYA STARLIGHT TOUR 2015(松戸・森のホール21 2015/05/02)

ライブ終盤、「ありがとう、行ってきまーす」と、吉井和哉は清々しい笑顔で旅立ちを告げていた。セットリストが進むほどに声が伸びやかに、動きが軽やかになっていくその様子には、新作『STARLIGHT』とこの日から始まるツアーに対する確かな手ごたえと期待が…

『STARLIGHT』

かつてボブ・ディランが<Ah but I was so much older then, I am younger than that now(あの頃の僕は今よりずっと年老いていて、今の僕はその頃よりも若い)>と歌ったように、吉井和哉の新作『STARLIGHT』は、ソロデビューから10年以上を経て、ソロ7作目に…

「クリア」

新曲の“クリア”“ボンボヤージ”に加えて、ソロになってからのライブで演奏されたイエローモンキーの楽曲が収録されたこのシングルのなかで、吉井和哉は3種類の服を着ていると思った。“クリア”が真新しい服で覚えたてのステップを披露しているとしたら、イエロ…

YOSHII KAZUYA SUPER LIVE 2014〜此コガ原点!!〜(2014/12/28 日本武道館)

11月にリリースされたカヴァーアルバムのサブタイトル(「此レガ原点!!」)を1文字だけもじったサブタイトルを持つ、吉井和哉2年ぶりの武道館公演。それは映画に例えるならば、てっきり「スピンオフ(番外編)」だと思って観ていたら、実は新しく始まる本編の…

『ヨシー・ファンクJr.〜此レガ原点!!〜』

カヴァーアルバムには大きく2種類がある。一つは「トリビュートアルバム」と呼ばれる、複数のアーティストがある特定のアーティストやバンドの曲をカヴァーしたもの。もう一つは、一人のアーティストが自分以外の複数のアーティストの曲をカヴァーしたのもの…

10th Anniversary YOSHII LOVINSON SUPER LIVE(2013/12/07 さいたまスーパーアリーナ)

このライブが発表された時は、なぜこのタイミングで、なぜこんなにキャパシティの大きい会場で、なぜ「YOSHII LOVINSON」と銘打ったライブなのだろう、と思った。ライブが始まる直前まで、そんな思いが心の隅っこにあった。 けれど、1st『AT THE BLACK HOLE…

『パンドラ ザ・イエローモンキー PUNCH DRUNKERD TOUR THE MOVIE』(2013/09/28)

公開初日に神戸の映画館で観た。劇中のライブ映像の激しさや華やかさとは裏腹に、しみじみとした静かな感動といつまでも胸の中に波紋を広げる切なさが残った。観て良かったと思った。1998年4月から1999年3月にかけて行われた113本に及ぶ「PUNCHD RUNKERD TOU…

TOUR 2013 GOOD BY YOSHII KAZUYA(2013/03/23 ホクト文化ホール)

府中で約1か月前に観たライブについて、私はこう書いたid:ay8b:20130304。「いいライブだった。『素晴らしいライブだった』と言い切っても惜しくないほど、いいライブだった」。それから約1か月が経ってもう一度ライブを観た今、こんなふうに書いたことを少…