ザ・クロマニヨンズ TOUR ガンボ・インフェルノ 2014-2015(2015/03/15 STUDIO COAST)

去年の10月から始まった60本に及ぶ全国ツアーのセミファイナル。ライブが始まる前から、会場全体にいつもとは違う熱気が漂っている。ライブ開始時刻直前になると、ステージ付近で将棋倒しが起こったような動きや声が聞こえてくる(危ない)。

いつも通り一気に疾走したライブでありつつ、今回はいつにも増してたたみかけてくるライブだった。熱風が駆け抜けたようなライブだった。骨の上に皮膚が張り付いた針金のようなヒロトの体は、もはやそれ自体が一つの「作品」だと思った。そして、ヒロトは腕や足がちぎれてしまうんじゃないかと思うほどの勢いでその体を揺らし続けていた。その様子を観ていると、ロックンロールにとっての「作品」は、形じゃなくて瞬間なのかもしれないと思った。ある瞬間に現れても次の瞬間には消えている。だから、止まることなく動き続けるのだということ。

ライブ終盤の“孤独の化身”。CDやツアー序盤のライブid:ay8b:20141102で聞いたときには、どこか感傷的に聞こえた別れの歌が、決意と励ましの歌に聞こえた。

君が 一人で行けば
僕も 一人で行く
孤独の化身 孤独の化身
孤独の化身

自分が一人で歩くとき、ヒロトもまた一人で歩いているのだとしたら、一人で歩くことは恥ずかしいことでも悲しいことでもないと思える。ヒロトの温かさは「質の良い孤独」を知っている人の温かさなのだと思う。クロマニヨンズを聞いて、勇気づけられるのは、一人で歩き出すことに誇りを持てるからなのだと思う。

もうこれでおそらく“犬の夢”はライブで聞けなくなる可能性が高いことが寂しい以外は、文句のないライブだった。

ザ・クロマニヨンズセットリスト(2015/03/25)
旅立ちはネアンデルタール
流行のクルマ
欲望ジャック
ゴーゴーゴー
ウォルターに一撃!
B&K
ダイナマイト・ブルース

ゴー ゲバ ゴー
ルル
原始力自転車
犬の夢
キスまでいける
スパーク!
ドードードードー
孤独の化身
エイトビート
紙飛行機
突撃ロック
ナンバーワン野郎!


―encore―
突風野郎〜愛のテーマ〜
底なしブルー
クロマニヨン・ストンプ