友部正人リクエスト大会2014(2014/09/07 Star Pine's Cafe)

友部さんのリクエスト大会は、お客さんがライブ前に書いたリクエストの紙を箱から1枚ずつ引きながら歌う。昨年のリクエスト大会id:ay8b:20131027と同様に、幅広いセットリストになった。
第1部では、歌い終えてから「16歳の時にラジオでこの曲を聞いて、僕は歌手になろうって決めたんです」と語ったボブ・ディランのカヴァー“ライク・ア・ローリングストーン”や、ゴーギャンの生涯を描いた本にインスパイアされた“マウリの女”、跳ねるようにリズムを刻んだ“ランブリン・ジャック”が印象的だった。

第2部では、冒頭で客席にいた森山直太郎さんをステージに招いて“こわれてしまった一日”を一緒に歌った。森山さんの、一観客のとしての素直な感想を友部さんに伝えるやりとりから、彼の友部さんに対する私淑と恐縮が伝わってきた。リクエストの紙を開いた後曲の説明をせずに、何も言わずに友部さんが歌い始めることの驚きを語る森山さんに対して、友部さんが「そうすると(僕とリクエストしたお客さんが)1対1になれる」と言っていたことが、まさにその通りだと思った。そして、その曲をリクエストしていない観客は、その「1対1」の濃密な会話の影を感じながら曲を聞くことができる。
森山さんとのやりとりから、曲について説明することを少し意識したのか、第2部では友部さんが曲の題名や生まれたいきさつを話してから演奏する曲もあった。“フーテンのノリ”を歌う前に、友部さんは「フーテン」という言葉の意味を説明した後、こんなふうに話した。「僕も新宿の路上に座っていたことがあります。道に座っていると社会から切り離されるんです」。そしてこの言葉に一呼吸おいて「それがとても気持ちよかった」と続けた。その言葉、その言い方がとても印象的だった。この言葉を聞いて「心が自由である」ということを考えた。社会から切り離された自由な心を持ちつつ、それを歌うことで他者とつながるということが、友部さんの表現なのだろうと感じた。と、同時に表現をする人は皆、「自由な心で他者とつながる」という難題に挑んでいるのかもしれないと思った。

私がリクエストした曲は歌われなかったけれど、いいライブだった。

友部正人セットリスト(2014/09/07)
−第1部−
朝は詩人
6月の雨の夜チルチルミチルは
公園のベンチで
ライク・ア・ローリングストーン(ボブ・ディランカヴァー)
夕暮れ
働く人
マオリの女
マリーナとウーライ
Bring It On Home To Me(サム・クックカヴァー)
ランブリン・ジャック
ユニコーン


−第2部−
こわれてしまった一日(with 森山直太郎)
少年とライオン
ボロ船で
フーテンのノリ
廃品回収業者
ゆうれいなんていかしてる
君のからだはまるで
誰もぼくの絵を描けないだろう
なんでもない日には
愛はぼくのとっておきの色


−encore−
大阪へやって来た
一本道