劇団フライングステージ第46回公演『Rihts, Light ライツ ライト』(2020/11/06 下北沢OFF・OFFシアター)

就職面接において、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染していることを告げなかったことを理由に内定を取り消されたことは違法だと訴えた「HIV内定取消訴訟」をモチーフにした物語。その原告男性へのインタビューと裁判記録を基にした「フィクション」である…

THE YELLOW MONKEY 30th Anniversary LIVE-DOME SPECIAL-(2020/11/03 東京ドーム)

吉井和哉の笑顔が少ないライブだった。印象に残ったのは、涙こそ流れてはいないもののほぼ泣き顔で“JAM”を歌う姿や、ライブの最後の“プライマル”を歌い終わって歯を食いしばりながらマイクをマイクスタンドに戻す姿だった。でも、だからこそ、この日のライブ…

『行き止まりの世界に生まれて』

アメリカの、かつて栄えた工業の衰退により「the Rust Belt(ラストベルト:錆びついた工業地帯)」と呼ばれようになった地域のひとつイリノイ州ロックフォードを舞台に、スケートボードに生きる少年達を追ったドキュメンタリー映画。白人のザック、アフリカ…

スピッツ「猫ちぐら」

デジタル配信でリリースされたスピッツの新曲「猫ちぐら」。新型コロナウイルス感染症により、社会や生活のあり様が潮が満ちるように少しずつ、しかし確実に変化を強いられるなかで、メンバー同士が顔を合わせることなく「リモート」で製作されたこの新曲は…

THE YELLOW MONKEY 「未来はみないで」

2020年4月4日と4月5日に予定されていた、ザ・イエローモンキの東京ドーム公演は、新型コロナウィルス感染症の影響により「開催延期」となった――結成30周年を祝うバンド史上初のドームツアーが発表された昨年8月はもちろん、この新曲が発表された今年3月半ば…

『ジュディ 虹の彼方に』

映画『オズの魔法使い』で有名なミュージカル女優、ジュディ・ガーランドの伝記的映画『ジュディ 虹の彼方に』を観た。「ショウビジネスの光と影」「大スターの栄光と苦悩」というクリシェに落とし込まれがちな物語ではあるけれど、主人公をスターダムに押し…

ザ・クロマニヨンズ ツアー PUNCH 2019-2020 (2020/02/19 千葉市民文化会館)

通算13枚目のオリジナルアルバム『PUNCH』を引っ提げての全58本に及ぶ全国ツアーのホールライブ初日。新作でヒロトが<アア ヤヨイ マヂカ リリィ>(リリィ)と歌う声が頭の中で再生されて、まさに今の季節にぴったりだと思いながら、会場に向かった。ライ…

THE YELLOW MONKEY 30th Anniversary DOME TOUR(2020/02/11 京セラドーム)

開演5分前、白いユニフォームが眩しいブラスバンドがステージ左右の端に並びフランク・シナトラの‟My way”を堂々と奏でた後、趣を変えてアッパーな演奏が始まったと思ったら、そのメロディは‟見てないようで見てる”だった。その演奏が進むにつれて徐々に会場…

THE YELLOW MONKEY 30th Anniversary DOME TOUR(2019/12/28 ナゴヤドーム)

ザ・イエローモンキーが、現在のバンドメンバーで初めてライブをした日が、1989年12月28日。それから30年の時が流れ、バンドの30歳の誕生日でもありバンドのキャリア史上最大規模となるドームツアーの初日となったライブは、序盤、中盤、終盤と進むなかで、…

THE YELLOW MONKEY 「DANDAN」

ザ・イエローモンキーには12月がよく似合う。現在のメンバーになって初めてのライブが12月28日だったという「縁」もあるように、このバンドには、過ぎ去っていくことの感傷と新たに迎えることの希望が交錯する季節がとてもよく似合う。賑やかな風景の裏にあ…

劇団フライングステージ第45回公演『アイタクテとナリタクテ 子どもと大人のフライングステージ』(2019/11/2 下北沢OFF・OFFシアター)

1992年の旗揚げ以来、劇団フライングステージのお芝居の中で最も幼い主人公、小学生達の物語。お得意のメタシアターの手法で描きだされた物語は、可愛らしくも、「愛とは」「家族とは」そして「自分とは」――というこれまでの作品群に通低する一貫した問いを…

『ロケットマン』

エルトン・ジョンの自伝的半生を描いた映画『ロケットマン』を観た。エルトン・ジョンの名曲の数々をミュージカル仕立てで織り込んだ華やかさとは裏腹に、見終わった後に何とも言えない切なさと静かな強さが心に芽生えてくるような、そんな映画だった。 1.…

THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2019-GRATEFUL SPOONFUL-(2019/7/7 さいたまスーパーアリーナ)

“天道虫”で派手に幕を開けたライブだった。テーマの異なる4種類のセットリストのうち、今回は「ハート」のセットリストだった。タイトルに「LOVE」とある曲が多く歌われたけれど、そういう歌ほど、セックスと真正面から向き合う反面、愛と真正面から向き合う…

THE YELLOW MONKEY SUPER JAPAN TOUR 2019-GRATEFUL SPOONFUL-(2019/6/11 横浜アリーナ)

19年ぶりのオリジナルアルバム『9999』と同じく“恋のかけら”で幕を開けたライブは、「30周年」という時の流れを感じさせないというよりも、時の流れを味方につけたバンドだけが醸し出す「円熟」と「新鮮」が同居したライブだった。ロックバンドとして「脂が…

歴史と交わるということ、あるバンドの「甘美な挫折」に寄せて

永井純一(2019)「第7章 フジロック、洋邦の対峙」書評(『私たちは洋楽とどう向き合ってきたのか』,南田勝也編著,花伝社,pp.210-243) 1997年7月26日、2人のオーディエンスの経験 私が初めてザ・イエローモンキーのライブを見たのは、1997年7月26日のフ…

10年目の5月2日に

忌野清志郎が亡くなって10年、10年目の5月2日になる。清志郎の訃報を知った時のことは今でも鮮明に覚えている。夜のニュース番組で速報として伝えられたこと、ほどなくして友人から電話がかかってきたこと。電話口で友人が泣いていたこと。その時は「悲しい…

THE YELLOW MONKEY『9999』

ザ・イエローモンキー9枚目のオリジナルアルバム『9999』。活動休止、解散そして再集結を経ての19年ぶりの新作。バンドにとっても、ファンにとっても長い時間と「重い想い」を背負ったアルバムである一方で、1曲目“この恋のかけら”が進むにつれてこの新作が…

朝焼けデトロイト

出張でアメリカのデトロイトへ。デトロイトの日の出は遅く、7時過ぎ。 郊外も都市部も、アメリカには「影」がないと思った。全てが白っぽい光に当てられ広がっていた。ふと、Fountain of Wayneの音楽を思い出した。 それは巨大なショッピングモールの明るさ…

東日本大震災とロック

記憶は音楽と共にあり、音楽は記憶を呼び起こす――何かを思い出すことは、その当時の音楽と自分自身を思い出すことでもある。 東日本大震災から8年が経つ。当時のことを思い出すとき、かつてこのブログに記した音楽にまつわる2つの体験が鮮明に蘇る。どちらに…

ザ・クロマニヨンズツアー レインボーサンダー2018-2019(2019/02/23 千葉市民会館)

とてもとても、本当に本当に、いいライブだった。新作『レインボーサンダー』は、そのタイトルが意味するように、CDで聞いた印象の何倍も曲調がカラフルだった。そしてソングライターとしてもプレイヤーとしても、それを誇示するというよりはバンドとして楽…

THE YELOOW MONKEY SUPER『メカラウロコ・29 FINAL』(2018/12/28 日本武道館)

アンコールで吉井和哉が歌った「毛皮のコートのブルース」がこの日のライブを象徴していた。曲に込められた吉井和哉の深い思入れや「イエローモンキー」というバンドの根っこにある世界観を感じつつ、全身黒の喪服のようないでたちで「Happy Birthday」と歌…

another sunny day 2018(b-flower/The Laundries/For Tracy Hyde/DJ:明山真吾)(2018/10/13 KOENJI HIGH)

20年以上の時を経てb-flowerのライブを観ているということ以上に、そのライブに「20年」という時間やその間の空白を感じないことが驚きだった。b-flowerの音楽は、その演奏は「みずみずしい棘」のままだった。かつてとキーの高さの変わらない八野英史のボー…

劇団フライングステージ第44回公園『お茶と同情』(2018/08/11 下北沢OFF・OFFシアター)

同性パートナーシップ申請(宣誓)、レインボーパレード、一橋大学アウティング事件、国会議員による「LGBTは生産性がない」発言――近年の同性婚を扱った連作と同様に、あるいはそれ以上に「2018年の日本」を強く意識した物語。そして、さりげなく織り込まれ…

吉井和哉 15th Anniversary Tour 2018‐Let's Go Oh! Honey−(東京国際フォーラム 2018/06/23)

いいライブだった。「ソロアーティスト」としての、「独りの表現者」としての吉井和哉の音楽の魅力に出会い直し、見つめ直すような、そんな感慨深い瞬間の連続だった。東京国際フォーラムで吉井和哉のライブ見るのは3度目だった。それはいつも梅雨の紫陽花の…

『SOUNDTRACK〜Beginning & the End〜』

吉井和哉のソロデビュー15周年に合わせてリリースされた、2015年のソロライブ音源と新曲からなるベストアルバム的1枚。 アルバムジャケットの吉井和哉の表情は、何と形容したらいいのだろうかと迷った。 遠くを見ているようで目の前の誰かを凝視しているよう…

THE YELLOW MONKEY SUPER BIG EGG 2017(2017/12/09・10 東京ドーム)

素晴らしいライブだった。 この「素晴らしい」という言葉が、これまでのイエローモンキーのライブと同じ基準によるものではなく、その基準自体が更新されたような感覚があったという意味で「素晴らしい」ライブだった。2001年1月以来、活動休止、解散そして…

劇団フライングステージ第43回公演『LIFE,LIVE ライフ、ライブ』(2017/11/12 下北沢offoffシアター)

渋谷区と世田谷区で始まり、全国の複数の自治体にも広がっている同性パートナーシップ申請(宣誓)をめぐる、3部作の3作目。2015年上演の1作目『Firiend,Freiends 友達、ともだち』、2016年上演の2作目『Family,Familiar 家族、かぞく』に共通する登場人物達の…

『オトトキ DOCUMENTARY of THE YELLOW MONKEY』(2017/11/11)

公開初日に銀座の映画館で観た。同じバンドのドキュメンタリー映画ではあっても、2013年に公開された『パンドラ ザ・イエローモンキー PUNCH DRUNKERD TOUR THE MOVIE』id:ay8b:20131006とは異なる感触と印象を残す映画だった。 2016年に「再集結」したザ・イ…

ザ・イエローモンキー『THE YELLOW MONKEY IS HERE.NEW BEST』

2013年にリリースされたファン投票によるベストアルバム『イエモン―FAN'S BEST SELECTION―』の収録曲を、再集結したザ・イエローモンキーが新たにレコーディングし直したベストアルルバム『THE YELLOW IS HERE』。タイトル通り、イエローモンキーが現在進行…

フラワーカンパニーズ「フラカン28号SPECIAL」(2017/04/22 日比谷野外大音楽堂)

「フラカンの野音」というと思い出すのは、48年ぶりの大寒波(!)に襲われた4年前の野音でのライブid:ay8b20130428。本当に寒かった…、でもとても印象深いライブだった。そして、ライブが始まる直前になって強く雨が降り出した今回のライブも印象深いライブに…