三宅伸治Every Wednesday 2014 三宅伸治・友部正人(2014/06/11 MANDA-LA2)

吉祥寺には6月の雨が降っていた。
最初に三宅さんが登場して4曲ほど歌ってから友部さんが登場して、その後はずっと2人で一緒にそれぞれの曲を演奏。三宅さんと共作したアルバム『ロックンロール、やってます』からの曲を演奏した後で、「この曲はなんていうアルバムに入ってるんだっけ?」と尋ねる友部さんが印象的だった。三宅さんと一緒に演奏する友部さんはリラックスしていて、演奏しながら2人でおしゃべりをしているようだった。友部さんの曲を演奏するとき、どことなく友部さんが三宅さんを頼りにしているような雰囲気があって、「年下のバンドマス」というのは三宅さんらしさなのだろうなと思った。
友部さんが「MOJO CLUBの曲で、1番好きな曲」として紹介した“ゆうーつ”も含めて、三宅さんの曲はラブソングが多かった。そんな歌詞はなかったけれど、どの曲も「君さえいれば僕は大丈夫」ということを歌っていたように思う。それは弱い自分を素直にさらけ出していて、だからとても優しいラブソングだった。三宅さんはとても優しい人なのだと思った。

そして、ライブの中盤で演奏された“6月の雨の夜、チルチルミチルは”。昨年の6月に身近な人が旅立ってから、6月とこの曲は私にとって「特別」なものになってしまった。あれから1年が経ってまた6月がやってきて、この曲の<雨の歩道にいつまでも立っていた>というフレーズの意味が、より分かるようになった。「遺される」ということは、「留まり続ける」、「留まり続けざるを得ない」ということなのかもしれないと。記憶が薄れることの喪失感と悲しみが和らぐことの罪悪感とが、自分が遺された日のそのままの自分でいることを選ばせているのかもしれないと。だから、悲しみはいつまでもみずみずしく色褪せることがない。この曲もまたいつものように「みずみずしい悲しさ」を湛えていた。

ライブ終盤の“大阪へやって来た”のヒリヒリしつつ厚みのあるギターの絡み合いは三宅さんとの共演ならでは、という感じだった。それと、アンコールで演奏した友部さんの日本語詞によるボブ・ディランのカバー“LIKE A ROLLING STONE”もとても良かった。<どんな気分だい?>というフレーズの迫力。日本語がとてもかっこいい言葉に聞こえた。
友部さんの歌は共演する人によって、微妙に表情を変えるように思う。それは友部さんの演奏が、たとえソロの弾き語りであったとしても「独白」というよりは「対話」の趣があるからなのだと思う。

付記:アンコールに登場した三宅さんのTシャツには清志郎の顔がプリントされていた。そのさりげなさがいいなと思った。