THE YELLOW MONKEY SUPER メカラ ウロコ・27(ライブビューイング)(2016/12/28 シネマイクスピアリ)

ほぼ毎年武道館で見届けていたこの日のライブを、今年はライブビューイングで見た。
開演前の武道館の会場には、席に着くとスクリーンに映し出された武道館の会場には、デビッド・ボウイの“ジギー・スターダスト”が流れ、ステージ上ではパッヘルベルの“カノン”の弦楽奏が演奏され、ライブを前にした興奮以上に、得たいの知れない切なさが押し寄せてくる。「年の瀬」という時期も含めて、イエローモンキーの武道館公演というのは、来し方行く末に思いを馳せる時のような、何とも言えない透明な感情を呼び起こす。

1曲目の“MORALITY SLAVE”に始まって、続く“DRASTIC HOLIDAY”の演奏が始まった時点で、このライブはちょうど20年前のまさに今日武道館で行われた「メカラ ウロコ・7」を意識したというよりも、それをSUPERに進化させて再現するという意図のライブなのだと思った。バンド結成時からブレイク前の3rdアルバム『jugar harad pain』までの繊細で複雑な美意識と、それをファンに突き付けて問うという「試し行動」のような屈折した愛情に貫かれたコンセプト。本編の最後に「フリージアの少年」を持ってきたことにも、その思いが強く表れていた。そのせいか、吉井和哉の表情には、かつてのイエローモンキーの時にそうであったような、ロックスターらしい「底意地の悪さ」が感じられもして、「あぁ、そうだった、こういう表情で歌っていたんだった」と少し懐かしくなったりもした。それは「アーティスティックな復讐心」を秘めた表情だった。
武道館で観れなかったことは残念ではあったけれど、ライブビューイングで観たことで、とても印象的な吉井和哉の表情に涙がこみ上げてきた場面があった。
ひとつは“聖なる海とサンシャイン”。<人が海に戻ろうと流すのが涙なら抑えようないね/それじゃあ何を信じ合おうか>と歌った吉井和哉の表情は今にも泣き出しそうというよりもすでに泣き顔で、「愛を乞うひと」だと思った。そしてもう1つは“SUCK OF LIFE”の最後<YOUR LIFE>と歌い切った後の、勝ち誇ったようでいて今にも負け惜しみを口にしそうな、相反する感情を湛えた表情。こういう複雑な、けれど同時に心に刻まずにはいられない表情を見せるから、吉井和哉は「ずるい」と思う。けれど、その「ずるさ」こそがステージでは花として映えるのだということ。

今回のライブで個人的に一番良かったのは、中盤の“パンチドランカー”。演奏の前に「バンドにとってのチャンピオンベルトのような曲」と紹介された通り,無敵で圧倒的なロックンロールだった。この曲からライブの潮目が変わったと思えた。それまでの回顧的で復讐心を湛えた雰囲気が、挑戦的で闘争心を感じさせる雰囲気になった気がした。復讐と挑戦――どちらも、「ザ・イエローモンキーの歩み」というひとつのことの2つの側面であるけれど、個人的には、再集結後に「SUPER」となった今のイエローモンキーには、復讐よりも挑戦が、リベンジよりもチャレンジが似合う気がした。もうこのバンドは、「被害妄想」の似合わない地点にいるように思ったから。

ライブ後、「特報」として来年の東京ドーム公演が発表された。やはり、2001年の1月8日の東京ドームでの活動休止前のラストライブを思い出さざるを得ない。けれど、新たに臨む東京ドームでのライブは、2001年の東京ドームのリベンジでありつつも、新たなチャレンジであり、新しいイエローモンキーを生み出すライブになってほしいと思う。

THE YELOOW MONKEY セットリスト(2016/12/28)
MORALITY SLAVE
DRASTIC HOLIDAY
FAIRY LAND
SCOND CRY
FINE FINE FINE
VERMILION HANDS
聖なる海とサンシャイン
FOUR SEASONS
SHOCK HEARTS
RED LIGHT
セルリアの丘
パンチドランカー
SWEET&SWEET
太陽が燃えている
SUCK OF LIFE
FATHER
フリージアの少年


―encoe―
This Is For You
真珠色の革命時代(Pearl Light Of Revolution)
Subjective late show
砂の塔
おそそブギウギ〜アバンギャルドで行こうよ
悲しきASIAN BOY