友部正人 ニューアルバム「ブルックリンからの帰り道」発売記念ライブ(2016/09/22 STAR PINE'S CAFE)

新作『ブルックリンからの帰り道』発売記念ライブ。最近のライブですでに演奏されていて聞いたことのある曲も、初めて聞く曲も、「ニューアルバム」という額縁に縁どられることで、改めて新鮮な気持ちで聞くことができた。「『友部正人』というバンドがあるとしたら、彼はずっとそのメンバーでした」と紹介されたゲストミュージシャンの水谷紹さんとの演奏は、友部さんと水谷さんが互いに信頼し、尊敬し、そして何より一緒に演奏することを楽しんでいることが演奏から伝わってくるようだった。曲ごとに、ではなく1曲のなかでピアノ、ギター、サックスと何種類もの楽器を持ちかえて(!)演奏する水谷さんのさりげなくも温かい存在感が印象的だった。
友部さんの歌とギターはいつもより力強く荒削りな感じがしたけれど、今回のライブには、山川のりを新井田耕造ら、新作のレコーディングに参加したメンバーはスケジュールが合わなくて参加できなかったと言っていただけれど、バンドの編成になると新作の曲はまた印象が変わるのだろうなと思った。

新作はそのアルバムタイトルが示す通り、友部さんが生活するニューヨークや日本での生活を歌にしたものが多く(マラソンをモチーフにした曲が2曲)、友部さんには「歌うように暮らし、暮らすように歌う」というフレーズがぴったりだと思った。
個人的には、昨年の3月id:ay8b:20150315に詩集『バス停に立ち宇宙船を待つ』の刊行に合わせたライブ「バス停で待っている」で聞いたときに、1度聞いて好きになった“From Broocklyn”がやはりとても良かった。

楽器ななかなかうまくならなけれど
未来は必ずやって来る
ブルックリンからの帰り道
悲しみを理由にしない旅が始まる

タヒチを思い浮かべる時にゴーギャンの絵を浮かべてしまうように、いつの間にか私にとってニューヨークを思い浮かべることは友部さんの歌を思い浮かべ、口ずさむことになってしまったように思う。そして、それはこの曲の健やかさに連なって、いつか「悲しみを理由にしない旅」として、ニューヨークに行ってみたいと思った。

友部正人セットリスト(2016/09/22)※少しうろ覚えで、一部曲が欠けていたり曲順が不正確です。
働く人
私はオープンしています
隣の学校の野球部
壊れてしまった一日
愛について
古い切符
少年とライオン
風邪ひき男のララバイ
ニューヨークシティマラソンに捧げる
見えないゴール
さわがしい季節
彼女はストーリーを育てる暖かい木
6月の雨の夜、チルチルミチルは
マオリの女
From Brocklyn


−encore1−
夕日は昇る
クジャクのジャック
僕は君を探しに来たんだ


−encore2−
一本道
遠来