ステージに両バンドが同時に登場し(左側にミドリ、右側に神聖かまってちゃん)が1曲ずつ交互に演奏するというまさに「デスマッチ」。けれど目の前で起こっているのは「死闘」というよりむしろ「公開処刑」という感じだった。
とにかくミドリが圧倒的だった。
演奏力とバンドの基礎体力の差が歴然だった(ギターボーカル、キーボード、ベース、ドラムと同じ編成ゆえになおさら・・・残酷)。緊張や戸惑いもあったのか、“ゆーれいみマン”“学校に行きたくない”“ロックンロールは鳴り止まないっ”と疾走感のある曲が続いた序盤、かまってちゃんは1曲演奏するのがやっという印象だった。
しかも、“学校〜”と“ロックンロール〜”はかまってちゃんの演奏直後に、ミドリ側が鉄壁かつ流麗な演奏でさらっとリプレイしてみせるという責め苦。観ているこちらが「お母さぁぁぁ〜ん(悲鳴)」という心境だった。
「おまんこっ、おまんこっ」と連呼する後藤まりこに対して、「おちんこ」と返すのがやっとのの子。それに大してすぐさま「それは、あかん!」と一喝し「人妻がおまんこ言うてんねんぞー」と煽る後藤まりこ――序盤のこんなやりとりに象徴されるように、ライブ全体を通してバンドとしてのミドリの凄さと、かまってちゃんの無防備さが浮き彫りになっていくようだった。
ライブの後半もずっと「フルボッコ」状態だったけれど、それでも、ライブでメロディが映える“レイニー・デイリー・ベイビー”、みさこさん不在で「アゴラム」(monoくんのドラム)炸裂の“あるてぃめっとレイザー”、の子の歌の力がまっすぐに響いてくる“いくつになっても”と、その演奏はどんどんよくなっていた(サマソニに比べても格段に)。
ラストの“ちりとり”の前後だったか、の子が「ついてきたいやつはついてこい」「カモォーン!」と吹かしや煽りじゃなく言っていた。この無残な状況にもかかわらず、というかだからこそ、そんなふうに言ったのかもしれないと思った。負けようが傷つこうが“ロックンロールは鳴り止まないっ”という気持ちで。
表現は違っても、それはきっとミドリも同じで、というかそんなロックンロールに対して「詰め腹を切る」覚悟の強さと激しさは、このライブではミドリが圧倒的に勝っていたということ。*1
可愛がっていた狂犬が目の前で大型トラックに轢かれるのを目撃したような、そんなライブだった。
それにしても、このデスマッチスタイルで、ミドリに勝てるバンドを思いつかない。