ジャケットがいい。野球道具を持って空き地に駆け出した少年達と、そんな彼らが夢中になる少年誌のような太文字のタイトル。それがパロディというより「フラカンらしさ」そのものという妙味。
すでにライブで披露されていた新曲“元少年の歌”と“40”。どちらも歌っていることは同じ。歳をとるということ。
アルバム『たましいによろしく』も含めて、ここ数年ずっといろんな形で歌われてきたモチーフ。「あぁ、またか」とは思わない。いろんな言葉とメロディを尽くしても歌いきれない「大人になること」の風景。歌えば歌うほど答えより問いが重なって、手に入れたものより失くしたものが増えていく、そんな風景。
“元少年の歌”のイントロ。もうずっと一緒にいるのに改めて丁寧に挨拶を交わすような清々しさにふっと気持ちが軽くなる。優しいメロディに乗せて歌われる「やりきれなさ」や「わびしさ」にむしろ癒される不思議。
当たり前だけれど「元少年」は少年ではない。もう少年には戻れない。そんな「変わってしまった」ことを噛み締めるように歌いながらも、そこには「変わらない」フラカンがいる、と思った。「変わってしまった」ことを歌うことが「変わらないもの」を映し出す。
“40”の最後<結局、逃場所はここにしかなかった>と歌われるとき、思い出したのはかつての圭介さんがライブで言ったこの言葉。
「フラカンをみんなの実家だと思ってください」
歳を取って、チクタクと急ぎ足で通り過ぎる時間に追い越されながら、不器用にテクテクと歩き続け、ふと振り返ったときにいつもそこにある音楽。新しくはないけど決して古くならないロックンロール。
変わることを受け入れながら、いつまでも変わらずに待っていてくれるフラカンに心から感謝。ありがとう。
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