ザ・クロマニヨンズTOUR BINBOROLL 2016-2017(2017/04/02 千葉市民会館)

ヒロトマーシー、そして彼らの音楽に対しては、もう尊敬と感謝しかない――というのが、心の底からの正直な気持ちだけれど、クロマニヨンズのライブを観ると、そんな気持ちすらどうでもよくなってしまう。そんな気持ちさえも超える「今・ここ」での感激や感動がある。彼らの音楽で出会ったから現在に至るまでの決して短くはない時間の流れや厚みさえ蹴散らしてしまうような、「爆発する現在」が、クロマニヨンズのライブにはある。
どの曲もハイライトではあったけれど、宇宙のただ中にるような美しい照明と相まって、“ナイアガラ”“焼芋”“誰がために”の流れは圧巻だった。歌われている情景や心情の素朴さがむしろ異次元の入り口になっているような奥行と迫力が、CDの演奏をはるかに超えていた。ツアーで磨き上げられたこの演奏が、次のツアーでは必ずしも聞けるわけではないと思うととても惜しいけれど、また同じにようにかっこいい新しい歌が現われるところが、クロマニヨンズの凄さだと思う。
ライブが終わって、会場の外に出ると咲き始めた桜が白く夜空に浮かんでいた。<ああ 桜 咲いたまま もう 春を忘れそう>という“光線銃”歌詞を思い出した。桜が咲いていることを忘れてしまうような興奮と、桜が咲いていることにふと立ち止まりたくなるような感傷の両方が心に残るライブだった。いいライブだった。

ザ・クロマニヨンズセットリスト(2017/04/02)
俺今日バイク
光線銃
マキシマム
デトマソパンテーラを見た
ハードロック
もれている
モーリー・モーリー
欲望ジャック
ゴー・ゲバ・ゴー
ナイアガラ
焼芋
誰がために
ピート
ペテン師ロック
エルビス(仮)
突撃ロック
エイトビート
雷雨決行
ギリギリガガンガン
大体そう


―encore―
笹塚夜定食
紙飛行機
ナンバーワン野郎!