フラワーカンパニーズワンマンツアー“ハッピーエンド2012-2013”(2013/04/21 日比谷野外音楽堂)

とてもいいライブだった。改めてフラカンが好きになった。

家を出る前にネットで見た天気予報では、最低気温6℃、最高気温9°(苦笑)。冬のコートを着て向かった雨上がりの日比谷公園はひんやりと澄んだ空気に包まれていた。寒かったけれど、その空気がこの日のライブに合っている気がした。冷えた空気のなかで、フラカンの曲に込められた熱と温かさがより真っ直ぐに伝わってきた。

どの曲も良かったけれど、最初にうわっとこみ上げてきたのは“永遠の田舎者”。ライブで何回も聞いている曲だけれど、声を張り上げて顔を真っ赤にして全身を激しく揺さぶりながら歌う圭介さんの姿に泣きそうになる。

涙目と色褪せたシャツ 首すじに力こめて
転げまわれ もがきまくれよ 永遠の田舎者

この歌詞そのままに、「必死」や「懸命」という言葉の天井をぶち抜くような熱唱だった。

ライブの中盤、『チェストチェストチェスト』(2010)や最新作『HAPPY END』(2012)収録の比較的新しい曲に続いて“吐きたくなるほど愛されたい”が始まった瞬間に会場から歓声が上がった。それは自分の気持ちと同じだったから、余計に嬉しくなった。この曲もまた、「赤裸々」や「正直」という言葉の底を踏み抜いているような熱唱というか絶唱だった。

どこへも行けない 帰る場所なんてもうない 乗り遅れて 乗り過ごして 見失って 堂々めぐって
半径30cmの世界の中で 満身創痍で傾いて
半径15cmの世界の中で なんかもう疲れた

この曲から10年が経ち、“東京タワー”からも“深夜高速”からも何年も経って、何かが良くなったようで実は何も変わってないというか、手に入れたものより失くしたものの方が増えているかもしれないという想い。それはこの曲の後、“246”の前に震災後の東北について語ったMCの「正直であろうとするがゆえの歯切れの悪さ」にも通じていた。けれど、だからこそ、ハッピーエンドを約束しない(できない)フラカンのロックンロールは胸に響くのだと思った。
スキマスイッチ常田真太郎氏をゲストに迎え、鍵盤が入ることでよりドラマチックになった“エンドロール”と“東京タワー”は、そのことをもっとシリアスに感じさせる迫力の演奏だった。

ライブの終わりまでずっと、指先は冷たいままだった。けれど、それも含めてとてもいいライブだったと思えるライブだった。
最後の“サヨナラBABY”の<失くしたもの 捨てたもの 置いてきたもの/サヨナラBABY/少年の夢はまだ 胸の中に/サヨナラBABY>というフレーズに、いつにもまして励まされた。これまでと同じようにこれからも何かを失くして何かを捨てて何かを置いてきてしまうかもしれないけれど、それを引き受けて手を振れる自分でいられる気がした。儚い予感かもしれないけれど、私にとってフラカンは、そういう気持ちを確認させてくれるとても大切なバンドだと思った。だから改めてフラカンが好きになった。

フラワーカンパニーズセットリスト(2013/04/21)
なれのはて
煮込んでロック
SO LIFE
恋をしましょう
人生GOES ON
切符
永遠の田舎者
ビューティフルドリーマー
トラッシュ
元少年の歌
ロックンロール
吐きたくなるほど愛されたい
246
また明日
エンドロール(with 常田真太郎)
東京タワー(with 常田真太郎)
脳内百景
NUDE CORE ROCK'N'ROLL
チェスト
YES,FUTURE


−encore1−
天使
はぐれ者讃歌
真冬の盆踊り


−encore2−
深夜高速
サヨナラBABY

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そして、やっぱり竹安ギターはとてもとてもかっこよかった(*ノωノ)