MUSIC ON! TV presents GG11 -10th Anniversary-(幕張メッセ 2011/09/24)

イベントでクロマニヨンズを見るのはおそらく5年ぶり。10曲のセットリストは最初の1曲を除いて他はすべてシングル曲。
ライブで初めて聞く最新シングルの“ナンバーワン野郎”。CDではその直球っぷりゆえにかえって少しちょっと物足りないと思ったことを申し訳なく思うほどの迫力。曲がストレートでシンプルであればあるほど、ライブのそれはものすごい豪速球になって自分に向かってくる。
客席との<イエー! イエー!>のかけ合いの後、一気になだれ込む間奏のハープソロ。それが始また瞬間に胸かきむしられる。クロマニヨンズのライブの凄さというのは、全速力で駆け抜けるその速度よりもむしろ、“息つぎしなさ”にあると思った。“息つぎ”する間も惜しいと思うほど、それを忘れてしまうほどの疾走と没頭。

印象深かったのは中盤の“流線型”。リリース直後の2月のライブでは新曲の初々しい緊張感を漂わせながら丁寧に歌っていたけれど、今回のライブでは<ビューン ビューン>の「ビュ」や<リッケンバッカー>の「バ」を空気に突き刺すように歌っていた。シングルには珍しいミドルテンポのその曲は、少し攻撃的になっていた。
曲の前の「みんな放射能浴びてちょっとずつ背が高くなったな。いいことばっかりだな。背は高くなるし。ちんぽはでかくなるし。その分寿命は短くなるけどな。それはまあいいかっ。」というMCとも相俟って、ふと「ノー・フューチャー」という言葉が頭に浮かんだ。奥が深い曲だと思った。

金があれば リッケンバッカー
金がないなら 倉庫の整理

10億年後に 船長の君と 出会うだろう 流線型
多分南の方 君と出会う ピカピカの 流線型

未来がないから「今」がどうでもよくなるのではなく、「今」にすべてがあるから未来がどうでもよくなるような、そんな豊饒な「ノー・フューチャー」。
「未来」を想像するなら、<10億年後>ぐらいがちょうどいい。それ以外の時間はすべて「今日」でいい。<夢の中でした 待ち合わせが今日>(紙飛行機)で、<今日が最高>(ギリギリガガンガン)なのだから――そんなふうに思える瞬間が何度も何度も降ってきたライブだった。

ザ・クロマニヨンズセットリスト(2011/09/24)
ひらきっぱなし
オートバイと革ジャンパーとカレー
ナンバーワン野郎!
流線型
グリセリン・クイーン
スピードとナイフ
ギリギリガンガン
紙飛行機
エイトビート
タリホー